長期繁栄型企業には、着目すべき特徴がいくつかあります。
ただし、個別の事例を見るだけでは、それぞれに矛盾することもある。
連続増収増益日本一のニトリ、そして2位のドン・キホーテ。
共に素晴らしい企業です。
ニトリの代表である似鳥氏の著作『ニトリ 成功の5原則』では、チェーンストア理論を学んだことが、大きな飛躍のきっかけになったと述べられています。仕組みとしての売り方の構築です。
しかし、ドン・キホーテの創業者、安田氏は著作『安売り王一代』で、チェーンストア理論は、成熟してしまった理論なので、ドンキは真逆の手法で攻めた、と書かれています。
ドンキは、徹底した現場主義、現場の担当者が独創性をもって
売り場を作ることを、最優先にしています。
この2つの超長期繁栄型企業の道は、相互に矛盾していないか?
だれでもそう考えるかもしれません。
しかし、矛盾していないのです。
2つの超優良企業が目的にしているのは、PDCAの最速化だからです。
ニトリは決算データの取得サイクルがきわめて早く、早期に問題発見と改善対策が打てるように。ドンキは、現場の担当者がお客様の顔や行動を見て、売り場を柔軟に変えていけるという意味での、「重要業務サイクル」の最速化なのです。
すると、PDCAの最速化をすれば、全部が解決するのか!と早合点する人が出てきます。しかし、それではダメなのです。
PDCAを最速化することは、優良企業の基本条件です。
しかし、P(Plan)が適切に設計されていないと、どうしても陳腐化してしまいます。
PDCAが速く回ると、Pが不適切なほど、むしろ陳腐化も早くなってしまう。
それは、上場したベンチャー企業の失速で、いくつか事例を見ることが
できるような、ある種共通した落とし穴ともいえるのです。